『名指しと必然性』の訳者による、初めての日本語による著書。 トピック毎に分かれた章立てになっているが、特に従来の分析哲学入門と比べると*1、クリプキに割かれている部分が多いのが特徴的ではないかと思う。 かなり八木沢流に噛み砕いて書かれている感じがする。そこを読みやすいと思うか、読みにくいと思うかは人それぞれかなと思う。様々な具体例(?)を出してくるのは分析哲学ではよくあることなので、具体例を出しながら説明するのは普通と言えば普通だけれど、「「真夜中の静寂」という展覧会で出品したU子が「丑三つ賞」を受賞する」とか、多少独特な感じはある。 それから、訳語などが定訳からは離れているところがある。冒頭で人名などについては触れられているが(「クォーク」を「クワーク」と書くのはすごく違和感があるが、分析哲学者のあいだではそのような発音が定着しているらしい)、本や論文のタイトルも定訳とは違っているものが