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ブックマーク / manba.co.jp (6)

  • 鳥山明さんのいなくなった日3【夏目房之介のマンガ与太話 その30】 | マンバ通信

    鳥山明は、縦の間白(コマとコマの間)より横の間白を広くとり読みやすくする工夫など、先鋭的な作品ではむしろダサく見えてしまう表現上の更新もしている。が、それが典型的に示すように、新しい革新的な表現に注目しがちな批評言説からは注目されにくい作風である。けれど、彼は間違いなくジャンプ最盛期の牽引役で、その後のジャンプ路線のシンボルだった。のちにジャンプを支える『NARUTO』の岸斉史、『ワンピース』の尾田栄一郎ら、多くのジャンプ作家に影響を与えた。いわば読者を育て、そこから作家を生み出したのである。いいかえると、彼はジャンプの基準、範例のようにも見なされ、結果「明朝体」のように感じられるようになったのかもしれない。 鳥山明はとてつもない作業量をこなし、しかも締め切りを守った。その理由が、会社員を経験したので、〈原稿が遅れるといろんな人に迷惑がかかる〉*1と思ったからだという。ただ、絵を描くのが

    鳥山明さんのいなくなった日3【夏目房之介のマンガ与太話 その30】 | マンバ通信
    tobofu
    tobofu 2024/06/01
  • 『天国 ゴトウユキコ短編集』双葉社 2023年 ジャンルについて(1)【夏目房之介のマンガ与太話 その22】 | マンバ通信

    今回は『天国 ゴトウユキコ短編集』【図1】を取り上げてみたい。すでに活躍している作家で、ちょっと怖い作品や人の闇を扱うような作品も描いているようだ。が、申し訳ないが、私はこので初めて読ませていただく。版元から送ってもらったのだ。 『天国 ゴトウユキコ短編集』 表紙を飾る少女の絵が、この作家の資質を示している。ピュアな少女の表情をサラッと描いているように見える。しかし、どこを見ているのかわからない二つの瞳の微妙な位置関係、小さな鼻に慎重に描かれた鼻の穴、唇の位置や繊細に引かれた線、淡い彩色の気遣いなど、とても注意深く表情を描き込んでいる。このを手に取る人は、そんなことまで考えないだろうが、無意識にそうした繊細さを受け取っているはずだ。漫画読者であれば、初見でもそうした無意識の印象で、ある種の「期待」をもって手にとるかもしれない。 『天国までひとっとび』『2月14日の思い出』『家庭教師』

    『天国 ゴトウユキコ短編集』双葉社 2023年 ジャンルについて(1)【夏目房之介のマンガ与太話 その22】 | マンバ通信
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    tobofu 2023/09/30
  • すがやみつる『コミカライズ魂』【夏目房之介のマンガ与太話 その15】 | マンバ通信

    『コミカライズ魂 『仮面ライダー』に始まる児童マンガ史』 私と同じ1950年生まれのすがやみつるさんは、とんでもない人である。マンガの話を研究者などとしていると、「あ、それはね…」といって、誰も知らないような内輪話を始める。あっけに取られていると、じつは石ノ森章太郎、ジョージ秋山などのアシスタント経験があるとか、69年頃大手出版社の下請け的な〈日初のマンガ専門編集プロダクション〉(P.72)と名乗る鈴木プロに就職して宮谷一彦の原稿を扱っていたとか、様々な現場にいちいち出没し関わってきた経験談を語る。そんなの誰もかなわない。 現場叩き上げの典型みたいな人で、その交友や現場体験は、どれも60年代末~70年代の激変するマンガ出版界の貴重な証言なのである。しかも異常なほどの記憶力で、細部まで憶えている。なので私は彼を、畏敬をこめて「マンガ界のフォレストガンプ」*1と呼んでいる。 70年代前半にマ

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    tobofu 2023/02/28
  • いしいひさいちは百合を描かせても一流だった—『ROCA 吉川ロカストーリーライブ』 | マンバ通信

    『ROCA 吉川ロカストーリーライブ』 私事ですが、先日岡山県玉野市に行きました。金がないから青春18きっぷで(もう歳なんだから18きっぷ+西成宿泊とかで旅をするな)。行ったのは、渋川マリン水族館(玉野海洋博物館)という入館料500円の小さな水族館が目的です。当方、中高と部活を生物部で過ごしたような人間なので水族館・動物園好きでして、旅に出る機会あれば積極的に寄ってるんです。この原稿書いてる時点のWikipedia「日の水族館」に載ってる施設のうち78館(現存73、今はないの5)+載ってない2館(今年に開館したスマートアクアリウム静岡と、むかし福岡に存在しわずか3年で潰れたネイブルランド水族館)の80館行っとります。 で、この玉野市というの、ある漫画家と関わりがあります。 筆者撮影。ちなみのこの「ののちゃんち」は22年9月現在、移転を予定して一時閉業中です ご覧の通り、いしいひさいちの出

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    tobofu 2022/11/12
  • 藤子不二雄、白土三平、石森章太郎、横山光輝……豪華絢爛な執筆陣による連作忍者漫画『忍法十番勝負』 | マンバ通信

    『忍法十番勝負』 『忍法十番勝負』は昭和39年、秋田書店の漫画月刊誌『冒険王』に10回にわたって連載された作品です。 10人の豪華な漫画家さんの顔ぶれには唸らざるを得ません。 『忍法十番勝負』(秋田書店)より。堀江卓、藤子不二雄、松あきら、古城武司、桑田次郎、一峰大二、白土三平、小沢さとる、石森章太郎、横山光輝と夢のような10人によって描かれました。 「○○で打線を組んでみた」、というネタがネット上で見られますがまさにそのままです。 何故あの漫画家さんが入ってないかという考えは捨てるべきで、忍者漫画を連作してみたら面白いに違いない。 『冒険王』がこう考えてこの10人を揃えたという事実で充分です。 3歳だった私は当然連載時には読んでません。初めて読んだのは小学生、秋田書店サンデーコミックス版でした。 理解度は低かったと記憶してます。 その後も何度か読み返しますが作品内容の印象は薄いままでし

    藤子不二雄、白土三平、石森章太郎、横山光輝……豪華絢爛な執筆陣による連作忍者漫画『忍法十番勝負』 | マンバ通信
    tobofu
    tobofu 2021/04/02
  • 島耕作のスピード感は、『君に届け』を2コマで置き去りにする | マンバ通信

    人生、一寸先はセックス。 『課長島耕作』シリーズを読んでいると思うことである。とにかく次の瞬間に何が起こるのか分からない。人は突如としてセックスをする。そこで浮かぶのが冒頭の言葉だ。人生、一寸先はセックス。これが真実だったのか。 もっとも、「島耕作にとっての人生は」と言ったほうがいいかもしれない。私はべつに一寸先がセックスの人生を送っていない。たいていの人もそうだと思う。島耕作という特殊なサラリーマンにとってのみ、人生一寸先はセックスなのである。当にこの人は、油断すると女と寝ている。 さて、一方で『君に届け』というマンガを読んでいると、この世にセックスなど存在しなかったような気がしてくる。なにか悪い魔導師にだまされて、われわれは性行為で子供ができると勘違いしていたのではないか。人類は当は、手をつなぐことで子供を生んでいたのではないか。 しかしふたたび『島耕作』のページをめくれば、人類は

    島耕作のスピード感は、『君に届け』を2コマで置き去りにする | マンバ通信
    tobofu
    tobofu 2018/02/27
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