あまりにも危なっかしい。日本の安全保障政策が、猛スピードで大きくかじを切ろうとしている。 菅直人政権が閣議決定した新たな「防衛計画の大綱」である。 米国の軍事戦略とのさらなる一体化、国防政策の基本としてきた専守防衛の有名無実化、武器輸出の本格的な解禁…。 大綱の中身に目を凝らすと、こんな方向が見えてくる。国民的な論議がなされたわけではないのに、ここまで踏み込むのか、と思った人も多いのではないか。 <憲法の精神ゆがめ> 日本が「平和国家」であることを世界に胸を張って言えるかどうか、が問われる事態だ。なし崩しに防衛政策が変更されることに、警戒しなくてはならない。 防衛計画の大綱は、政府が長期的な防衛力をどのように整備、運用していくか、という基本方針を示すものだ。今回は1976年、95年、2004年に続いて4代目で、民主党政権になってからは初めての決定となる。 前回の大綱まで、その