アート界隈の「パワハラ」「セクハラ」に関する告発が相次いでいる。この夏には、美術集団「カオス*ラウンジ」代表で、美術家・批評家の黒瀬陽平さんが退社した件をめぐり、パワハラの被害者とされる女性がウェブ上で手記を公開する事態もあった。はたして、業界特有の問題があるのだろうか。文化・芸術分野に関する労働問題を調査してきた共立女子大学文芸学部教授で、社会学者の吉澤弥生さんに聞いた。(ニュース編集部・山下真史) ●まさにブラックな業界だった ――これまでどんな労働問題を調査をしてきたのか? およそ10年前から、公的な文化事業、文化施設もしくはアートプロジェクトに関わる人たちにインタビュー調査をしてきました。アーティストのほか、アートマネージャーやディレクターなどです。ギャラリーで展示して作品を売って生計を立てているような人ではなく、プロジェクト型の事業に携わる人たちです。海外の事例と比較しようと、イ