極左過激派やオウム真理教事件など、昭和から平成にかけて日本を揺るがせた大事件の「裏側」で活動してきた公安捜査官・古川原一彦。その古川原が死の直前に明かした、公安警察の内幕やルール無視の大胆な捜査手法から、激動の時代に生きたひとりの捜査官の生きざまに迫ります。長年、古川原と交流を持ち、警察やインテリジェンスの世界を取材し続けてきた作家・竹内明氏が知られざる公安警察の実像に迫る連続ルポ、第6回(前回までの内容はこちら)。 「汚れ仕事」は現場の責任 かつて公安警察の活動は秘密のべールに包まれ、非合法的な捜査手法も用いられていた。居宅侵入、盗聴、窃盗……。当時は「テロを防ぐ」という大義のための、最後の手段としてなら、組織の中で許容されていたのである。 そんな時代にあって、なお公安部公安一課のはみ出し者といわれた警部補・古川原一彦は生前、筆者にこう語った。 「当時から公安警察が組織的に(非合法捜査を