現在の日本経済は政府債務急増とデフレの板挟みに苦しんでいます。 最近ではユーロ圏までもが「日本化」に苦しみだしたようです。 これらに良い処方箋を考えるのに、これまでの経済学の枠組みはかえって邪魔になっているのではないでしょうか。 これまでの経済学は無意識にインフレ状態を前提に組み立てられていました。 それも無理のないことで、現代日本のデフレは金融史にも例を見ない連続長期デフレで、大半の国はデフレに陥ることがあっても、わずか数年でデフレを脱却していました。 ところが、リーマン・ショック後は、日本だけでなくユーロ圏で政府債務危機が起きたPIIGS諸国などでもインフレ率が徐々に低下してきました。(図表1) その結果、インフレ状態を前提に組み上げられた経済学では対応困難な状況が見られるようになっています。 PIIGS諸国でも物価の低下がみられる 図表1 日本とPIIGS諸国の物価水準 出所:IMF