船長とは、宇宙で「仲間の命を預かる」極めて重要な立場だ。国際宇宙ステーション(ISS)で緊急事態が発生した場合、船長は「地球に戻るか否か」という究極の判断を任される。そのためISS船長の多くは軍出身者。生死をかけた危機管理に慣れているからだ。 ではなぜ今、日本人が船長になれるのか。宇宙船は各国の技術とプライドの結晶で、他国の宇宙飛行士に操縦桿は渡さないという暗黙のルールがあった。だがISSは宇宙の実験施設であり、打ち上げや着陸などの操縦をする必要がない。こうして、日本人もようやくISS船長のポストが狙えるようになったのだ。 宇宙飛行士のトップに立つ資質 若田の部下は、誇り高き米国とロシアの宇宙飛行士たち。いずれも有人宇宙飛行では半世紀以上の歴史を持つ、宇宙大国の精鋭たちだ。技量もプライドも高い猛者たちから「コイツなら命を預けられる」と全幅の信頼を得て、チームを率いるのは簡単なことではない。