2017年に没後25年を迎えた松本清張に関する本の出版は、その後も続いている。BOOKウォッチでも、『誰も見ていない書斎の松本清張』(きずな出版)、『「松本清張」で読む昭和史』(NHK出版新書)、『松本清張「隠蔽と暴露」の作家』(集英社新書)、『清張鉄道1万3500キロ』(文藝春秋)、『旅と女と殺人と 清張映画への招待』(幻戯書房)などを紹介してきた。 社会派推理作家と理解されている松本清張だから、その作品論の多くは新書などの読み物として出版されるのが常だった。本書『松本清張が「砂の器」を書くまで』(早稲田大学出版部)は、博士論文として書かれたものを学術書として出したものだ。泉下の清張氏も驚いているかもしれない。 長く研究の対象外だった 大学の文学部、大学院文学研究科におけるおもな日本文学の研究対象は、長らく古典やせいぜい明治の自然主義文学、おまけして戦前の作家というのが相場だった。最近で
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