好きな人がいる。 好きな人。 気持ち悪い響きだ。 特に30才のおっさんが使うと。 その子のことを常に目で追ってしまう。 街を歩いてる時...喫茶店でぼーっとしている時...YouTubeを見ている時...ふとした時に彼女のことを思い出す。 彼女の笑顔。彼女との会話。 完全に僕の片想いだと思う。いや嘘だ。本当は両想いだと思ってる。 僕は「彼女は絶対に僕のことが好きだ」と思ってる。 「僕と一緒にいる時にあんな笑顔を見せてくれたり、 あんな本音を話してくれた子が『僕のことを好きじゃない』 なんてことがあり得るだろうか?」 でもたぶん普通にあり得るんだろう。 僕は彼女にとって「ただの知り合い」に過ぎないんだと思う。 ☆ 彼女とは共通の趣味がきっかけで知り合った。 びっくりするくらい可愛い子だった。一目惚れだった。 僕らはたくさん話した。「ある程度」は仲良くなれた。 「ある程度」は。 でも僕らはもう