撮影:立木義浩 vol.1はこちらをご覧ください。 シマジ 人生って不思議です。この中谷巌教授が日産自動車に入社して英語が得意だったことが買われて輸出部に配属された20代のころは、毎晩、バイヤーを連れて銀座で綺麗どころを侍らせて、接待していたんでしょう。 中谷 そうですね。毎晩、午前様でした。このままこんなことをして年を取ってしまっていいものだろうかと、深く考えましたね。 シマジ そこが教授と私の大きなちがいです。わたしは毎晩、愉しくて早く仕事を終えて銀座に駆けつけたものです。教授はストイックで、編集者は快楽主義だったのでしょう。銀座で悩み、そこから一挙にハーバード大学の大学院に入ってPHDを取っちゃうんだから、中谷教授は並みの人間ではありません。わたしがオンナの尻を追いかけていたころ、教授は一生懸命勉強し、わたしがオンナの部屋で惰眠に耽っていたころ、寝食を忘れて勉強してたんでしょう。 中