午前中の緊急ミーティングは、今月で退職する同僚・牛島君が任されている仕事の引継ぎがテーマだった。それにしても…って僕はすこしセンチメンタルな気分になる。会議室に空席が目立つようになったからだ。未曾有の不景気にもかかわらず、ここ一年でウチの営業部は五人辞めている。ホワイトボードを走らせていたペンを休め、営業部トップである部長を見た。部長は悠然と腕を組み、眉間に皺をよせ、目をとじ…イビキをかいていた。ぐがーうあー。寝てても鬱陶しい。 話がまとまったので部長に声をかけた。びくびくっ。糞をひねりだすミミズのように痙攣したあとで、まぶたをひらいた部長は、「ダメだ!」と絶叫し、「お前らは与えられた仕事をこなしているだけだ…。お前たちに尋ねる。与えられた仕事をこなしているだけでいいのか?」と言った。目の焦点があっていない。「あた、あたた与えられた仕事、を、おえ、こなしているだけでいいのくわあ?」。寝ぼけ