<タブーなき言論がさけばれているが、日本には欧米社会が持つ当たり前の国防意識が欠如> ロシアのウクライナ侵攻が続く。路上を歩く市民が砲弾で吹き飛ばされる生々しさはコンピューターゲームとは違う。文明国同士ではもうあり得ないと思っていた戦争がいとも簡単に起き、非文明の世界になってしまう。 これを受けて、「アメリカに守られた体制の中でアメリカの戦争を非難し、平和を叫んできた戦後ののんきな時代は終わり。憲法改正、核武装、いろいろなタブーを外して安全保障を現実の問題として考えよう」と言いたくなるが、それもまた紋切り型で思考停止に近い。 問題は、日本の政府や社会がまだ「近代国家」という怪物を使いこなせるほど熟していないことだ。そして政府の当事者たちも日本の安全保障をこれからどうしたらいいのか、方向性がつかめていない。 どういうことか? まず、多くの国民が問題視する日米同盟なしに日本はやっていけるか。日