中条省平(文芸評論家)×池上冬樹(文芸評論家) ×柚月裕子(ミステリー作家)鼎談 「マンガとも映画ともことなる、小説にしかできないことを考える」 第33回は文芸評論家の中条省平さん(聞き手は文芸評論家の池上冬樹さんとミステリー作家の柚月裕子さん)。戦後の日本文学を代表する作家の福永武彦と辻邦生、さらには人気マンガ家荒木飛呂彦との出会い、伝説の編集者安原顕との交流を振り返りつつ、小説の独自性とは何かを語っていただきました。 ◆柚月裕子は“中条チルドレン”/中条省平と荒木飛呂彦との意外な出会い/荒木マンガの衝撃性 池上 今日は本講座出身の柚月裕子さんと一緒に中条省平さんの素顔に迫りたいと思います。なぜ柚月裕子が聞き手なのかという話からいきましょうか。柚月さんの第二作『最後の証人』(宝島社文庫)の解説を中条省平さんが担当している縁もありますが、話はもっと遡(さかのぼ)りますね。柚月 およそ8年前