「正しく理解している人が少ないのではないだろうか」。世界最大のIT(情報技術)機器受託生産会社、台湾・鴻海精密工業(ブランドはFoxconnとして知られる)とシャープが決めた資本提携に対する日本人の反応やメディアの報道を見るにつけ、私はそう感じています。それも無理ないのかもしれません。民生用エレクトロニクス産業の変化スピードは極めて速い上に、台湾のIT産業を取り巻く環境やルールは、日本のそれら
先日、ある会議で次のような意見を聞いて、私は心の底から驚いた。 「アメリカ経済は、短期的利益だけを追い求める近視眼化の傾向をますます強めている。その象徴がアップルだ。独自の技術を開発したわけでなく、さまざまな既存技術を寄せ集めただけの製品で利益を伸ばし、ついには時価総額がアメリカ第2位になってしまった」というのである。 対照的なアップルとソニーの株価推移 ここには、いくつかの重要な論点が含まれている。まず、「アップルが独自の新しい技術を開発したわけではない」という点について。 これは、そのとおりである。アイポッドの原型はソニーのウォークマンであり、アイフォーンの原型はNTTドコモのiモードだ。アイパッドに至っては、アイフォーンとノートPCの中間の製品というだけのことだ。タッチパネル方式もゼロックスが開発したものであり、アップルはそれをまねただけだ。 しかし、同じことは過去のさまざ
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