[かいせつ] ソビエト文学の巨匠アレクセイ・トルストイが、亡命先から帰国して1924年に発表したSF小説「アエリータ」の映画化で、実質的にはソビエト初のSF映画。革命直後、ソビエトが外圧と内乱のため非常な困難に直面していた時代を背景にした作品で、衰弱し滅び行く火星の文明と若いソビエトになぞらえた地球とが比喩的に対比され、当時の社会のパロディや調刺も横溢するものとなっている。 主人公ローシをめぐるメロドラマやその演技には革命前の心理ドラマの徴候が見られたり、また、兵士グーセフやその妻の形象は非常にリアルに描かれるなどスタイルは混然としているが、それはそのまま20年代のソビエト映画の現状を反映するものであった。 監督のヤーコフ・プロタザーノフはロシア時代から既に「セルギー神父」(1918)など80本もの作品を撮っているが、1920年、海外に亡命し、パリとベルリンで6本の映画を製作した。(この中