暗黙知と形式知の相互転換を核とする知識創造理論は日本発の経営理論として世界的にも知られている。その提唱者、野中郁次郎氏に、イノベーションが続々と起こり、社員全員が働き甲斐を感じ、いきいきと仕事に向かえるような企業組織のあり方を語ってもらった。 目次 「俊敏なスクラム」とは サイエンスよりアートを 仲間に対する「共感」が鍵を握る 今こそアメリカ企業に学べ 「俊敏なスクラム」とは これからの組織を考える際の重要なキーワードの1つが「スクラム」だと私は思います。ラグビーでフォワードが肩を組んで押し合う、あのスクラムのことです。 洋の東西を問わず、現在、企業においてはそれぞれが専門と担当領域をきっちり分けながら、分業制で仕事を進めるというやり方が主流になっていますが、スクラムはそれとは逆で、それぞれが専門と担当をもちながらも、緩やかに連携し、関係性を深めながら、機動的に仕事を進めていくスタイルを指