科学とSFの界面活性剤となる三冊を選んだ。 楽観的に語られる未来予想図は生々しく、ときに禍々しいが、善悪を決めるのは科学じゃなくて人なんだといまさらながら気づかされる。 まずは、「サイエンス・インポッシブル」。光学迷彩から恒星間飛行、念力やテレポーテーションといったSFネタを、最先端科学でもって検証してみせる。面白いのは、「何が不可能か?」に着眼しているところ。つまり、オーバーテクノロジーを技術上の課題に分解し、どうしたら可能になるかを検討するのだ。大質量の恒星を用いるガンマ線バースター砲の射程は数百光年といった極大から、自己複製する無人のインテリジェント・ナノシップを何百万と送るほうがコスト安といった極小まで、SFを超えたスケールに驚愕すべし。 次は、「操作される脳」。 インターネットやステルス技術で有名な、米国防総省の国防高等研究計画局(DARPA)の「人体」への研究成果が紹介されてい