コンスタンティヌス大帝とニケーア信条 最晩年に取り組んだ企画 バッハ不滅の音楽『ロ短調ミサ』、今回は第2部の『ニケーア信条 Symbolum Nicenum』です。 通常のミサでは第3章『クレド』(信仰宣言)に当たります。 前回まで聴いた第1部の『キリエ』『グロリア』がひとつの「ミサ」として完結し、1733年にザクセン選帝侯に献呈され、おそらく同年にドレスデンで演奏されました。 カトリックの典礼であるミサ曲のうち、プロテスタントではこの2章までは使用を認められていたのです。 主君はポーランド王位を得るために、ど顰蹙をかいながらもカトリックに改宗していましたが、ドレスデンの領民はガチガチのプロテスタントですから、この曲は君主と民衆の両方から受け入れられる内容でした。 しかしその後、バッハはその死の3年前になる1747年頃、カトリックのミサとしては不完全なこの曲に、残りの3章を加えて、完全なミ