高橋秀樹[放送作家/日本放送作家協会・常務理事] *** 筆者にとって「何か特別な理由がなければ絶対に見ない映画」にジャンル分けされるのが、『君の膵臓を食べたい』である。 その日、筆者は渋谷で開催された日本放送作家協会主催の『東京作家大学』の講義を2つ受けもつ予定があった。ひとコマ目が終わると次まで3時間半の空き時間がある。そこで東宝シネマズに行ってみた。時間的に見られる映画は2つ。『怪盗グルーのミニオン大脱走(吹替版)』と『君の膵臓を食べたい』である。 ようは二択なのが、筆者は洋画を日本語吹替で見る趣味はない。頭の中が違和感だらけになる。そうなると、『君の膵臓を食べたい』を見る他ない。そんな選択肢なき経緯が今回、同作を視聴した「特別な理由」である。 さて、開映の時刻間際だったので取れた席は前から2列目。場内はJKで満席。爺の筆者は相当場違いであった。本屋大賞の2位だったという原