初めて読んだときにはビックリしたなあ。 もうあまりにも強烈なインパクト。ちょっと大げさな言い方をするなら、それまで読んできたマンガの常識がすべてひっくり返されたような経験だった。 だってほら、見てくださいよ。この絵を。 巧いのかそうでないのか、といえば確実に後者だろう。1962年という時代背景を考えても、貸本漫画という媒体を考えても、これはちょっと稚拙に過ぎるのではないか。キャラクターの顔はみんな怖いし、セリフまわしは不自然だし、第一ストーリーが変だよ。何度読んでもよく分からない。あまりにもカルト過ぎるのだ。 なのだが。 ここには巧いとか下手だとか、そういう問題を忘れさせてしまうような、一種独特な感銘がある。「お前が本当に読みたかったのは、この『人間時計』みたいなマンガなんじゃないのか?」と作者にジリジリ詰問されているような気がする。で、思わず「あっ、その通りです」と言ってしまいたくなるよ