中山間地域と農業の実体をあまりにも知らなすぎる論評が出ること自体が、輪をかけて日本の農業を誤解したものにしている。限界集落に住む農業者が医療サービスを受けられないことは深刻であるが、住民のほとんどは、管につながれて病院で屍化しながら生きようとは思っていない。ある日突然、脳内出血で死んだとすれば天寿を全うしたと喜びさえするであろう。筆者が言う(1)資源管理機能、(2)生産補完機能、(3)生活扶助機能といったものがなくなって、実生活に支障があるかと言えば、「ない」とほとんどの人が答えるだろう。食の自給率など知ったことか、困るのは消費者であって、自分たちは充分満足できる低農薬、有機栽培野菜、安全な山菜、ヤマメ、イワナを採取することを楽しみ、食べている。農業後継者が居ないことは消費者にとって重要であっても、現状の住人にとっては生死に関わる重要な案件ではない。少なくとも年寄り同士相互扶助しながら楽し
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