フォッグはこれを立証するために自ら世界一周に出ることを宣言し、自分の全財産の半分にあたる20,000ポンドをクラブの会員たちとの賭け金にする。残りは旅費に充てるため、期限内に世界一周を果たせなかった場合、全財産を失うことになる。フォッグは当惑するパスパルトゥーを伴って、10月2日午後8時45分発の列車でロンドンを発つ。彼のリフォーム・クラブへの帰還は80日後の12月21日の同じ時刻とされた。 フォッグとパスパルトゥーは、時刻通りにスエズ運河へ到着するが、エジプトに滞在している間、フォッグはスコットランド・ヤードの刑事、フィックスにひそかに監視されていた。フィックスはイギリスの銀行で起きた盗難事件の犯人捜索のため派遣されたが、フォッグの容貌が容疑者と似ていたために、彼を犯人と思い込んでいたのだった。しかし、出発までに逮捕令状を取得できなかったため、フィックスはボンベイ行きの蒸気船に乗船する。