昔、時間がうまく把握できなかった。例えば十代の頃。 例えば、「今」は「さっき」より2分経ったのか5分経ったのか15分経ったのか時計を見るまで全く分からなかったし、「ちょっと前」に起きたあの出来事は「今」から10分前のことだったのか25分前のことだったのか1時間前のことだったのか全然説明できなかった。自分で測る時間の目測はいつも時計が示す時間と大幅にずれていた。「さっき」起きた「それ」は大体「何分前」のことだったのかを、そんなに悩みもせずに説明できる周りの人たちが理解できなかった。 けれどこの世界はそんな自分の感覚とは関係なく、時計で定められた時間を区切りにして授業が始まって終わり、時計で定められた時間の経過によってバイトの時給が支払われるという仕組みなのだった。時計の針の動きや117の時報や、子午線や天文台や地球の自転や公転や、原子時計が発する電磁波の周波数によって、この世界に流れる時間は
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