非常に大きな数字を把握するのが苦手なのは、僕だけではないと思う。7億ポンドの無駄使いよりも20億ポンドの無駄使いに対して怒りを感じるべきだというのは、理論上は分かる。でも実際は、僕にとってはどちらの数字も同じくらい理解しがたい。だから無駄になった例として耳にすれば、両方とも同じくらいに怒りを覚える。 僕が日本にいた頃は、特によく分からなかった。1ドルは現在約100円、1ポンドは約160円と、円は通貨の基本単位としては非常に小さい。だから金額について当惑することはしょっちゅうあった。「30兆」円の予算について記事を書いても、その数字が何を意味するかまったく理解できない。 東京で僕がしばらくコーヒーテーブルに置いていた本の一つが、村上龍の『あの金で何が買えたか』だった。そこには、一つの銀行を救済するために注入された公的資金でニューヨーク・ヤンキースを何回買収できたか、といったことが示されていた