世界反ドーピング機関(WADA)の調査チームが公表したロシアのドーピングに関する報告書は、国家ぐるみで違反を隠す実態を詳細に調べ上げていた。報告書で「国家が動かす巨大なマシン」と表現された隠蔽(いんぺい)システムは、尿のすり替えにとどまらず、発覚しにくい薬物の提供などにも及んだ。旧東ドイツの国家計画としてのドーピングは知られているが、ロシアでも同様の“ドーピング文化”が旧ソ連時代からはびこっていた。 「大変な57日間だったが、短期間で成し遂げられたことは誇りに思う」。18日、調査責任者のリチャード・マクラーレン氏(大学教授)は記者会見で自信に満ちた表情だった。2014年ソチ冬季五輪での不正のほか、さらにさかのぼって隠蔽の仕組みを暴いた。 ソチ五輪時の尿のすり替えには、周到な準備があった。有望選手は薬物をしばらく使わず、五輪前にきれいな尿を採取。ソチの検査所近くのロシア連邦保安庁(FSB)の
