本当に中国が脅威なら… その後に行われたシンポジウムには、国家基本問題研究所の櫻井理事長と田久保忠衛副理事長が登壇。ロシアの信頼性や、中国の脅威度の評価について疑問を向けられたトッド氏は、こう答えた。 「日本にとって、米国よりロシアが大切になると言っているわけではありません。ただ、本当に危機が重篤な場合、価値観の相違など忘れなければならない。第二次大戦で筋金入りの反共主義者だったチャーチル英首相は、独ソ戦が始まるとロシアと組んだ。本当に中国を脅威に思っているのなら、それをやらなければなりません」 「何年か前、日本の首相の靖国神社参拝をめぐる議論が起きたとき、私はこう思いました。日本人、あるいは日本の首相はもうあの神社について語ることも参拝することもやめて、現実の軍事力を整備すればいいのに、と」 「私が大嫌いなのは戦争です。なぜ戦争になるのか。勢力均衡が破綻したときです。そうした場合、再武装