ブックマーク / www.aozora.gr.jp (2)

  • 太宰治 徒党について

    徒党は、政治である。そうして、政治は、力だそうである。そんなら、徒党も、力という目標を以(もっ)て発明せられた機関かも知れない。しかもその力の、頼みの綱とするところは、やはり「多数」というところにあるらしく思われる。 ところが、政治の場合に於いては、二百票よりも、三百票が絶対の、ほとんど神の審判の前に於けるがごとき勝利にもなるだろうが、文学の場合に於いては少しちがうようにも思われる。 孤高。それは、昔から下手(へた)なお世辞の言葉として使い古され、そのお世辞を奉られている人にお目にかかってみると、ただいやな人間で、誰でもその人につき合うのはご免、そのような質(たち)の人が多いようである。そうして、その所謂「孤高」の人は、やたらと口をゆがめて「群」をののしる。なぜ、どうしてののしるのかわけがわからぬ。ただ「群」をののしり、己れの所謂(いわゆる)「孤高」を誇るのが、外国にも、日にも昔はみな偉

    tokyocat
    tokyocat 2012/07/12
  • パンドラの匣 - 太宰治

    この小説は、「健康道場」と称する或(あ)る療養所で病いと闘っている二十歳の男の子から、その親友に宛(あ)てた手紙の形式になっている。手紙の形式の小説は、これまでの新聞小説には前例が少かったのではなかろうかと思われる。だから、読者も、はじめの四、五回は少し勝手が違ってまごつくかも知れないが、しかし、手紙の形式はまた、現実感が濃いので、昔から外国に於(お)いても、日に於いても多くの作者に依(よ)って試みられて来たものである。 「パンドラの匣(はこ)」という題に就(つい)ては、明日のこの小説の第一回に於て書き記してある筈(はず)だし、此処(ここ)で申上げて置きたい事は、もう何も無い。 甚(はなは)だぶあいそな前口上でいけないが、しかし、こんなぶあいそな挨拶(あいさつ)をする男の書く小説が案外面白(おもしろ)い事がある。 [#地から2字上げ、2行にわたる丸括弧で挟んだ2行組み](昭和二十年秋、河

    tokyocat
    tokyocat 2009/01/15
    《こんなぶあいそな挨拶(あいさつ)をする男の書く小説が案外面白(おもしろ)い事がある》
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