東京・新宿。 この街で、原田吉郎さん(67)は40年にわたり新聞を配り続けている。歌舞伎町がうごめき出す夕暮れ。路上のゴミにカラスが降り立つ早朝。自転車に新聞を積み、街を走り抜ける。虎のお面に派手な衣装。人は「新宿タイガー」と呼ぶ。 欲望と喧騒(けんそう)と猥雑(わいざつ)さと。この街と、ここで生きる人たちを、新宿タイガーはお面の下から見つめてきた。 ◇ 午後8時過ぎ。 不夜城が騒がしさを増す。歌舞伎町は、きょうも眠りそうにない。 新宿駅東口。ビルの電光掲示板の気温表示は8度。 配達や集金を終えた原田さんが、甲州街道沿いの老舗の蕎麦(そば)屋に入った。新聞配達を始めた40年前からの得意先だ。 「手がぬくもるねぇ」。お面を頭にのせ、温かい丼を持ち上げる。鰹(かつお)だしの利いたつゆ。ひと口、ふた口とすすり、海老(えび)天をつまみあげた。「懐かしいねぇ」 長野県中西部、旧波田村(現松本市)の養
東京都品川区には、わずか460円の入泉料で2種類の天然温泉を楽しめる湯処がある。ぜいたくなかけ流しを460円で堪能できるというだけでも驚きだが、さらにその裏に隠されたストーリーもまた興味深いものがあるという。一体、どんな湯処なんだろうか。 二代目の奮闘で客数は3倍に 施設の名前は「武蔵小山温泉 清水湯」(東京都品川区)で、創業は大正13年(1924)。当時は竹林が広がる武蔵野の地で、毎日、家一軒分の廃材を燃やして湯を沸かしていた。つまり、当時は天然温泉ではなかったため、人力で湯を沸かす必要があったのだ。しかし冒頭の説明通り、現在では温泉が湧いているのだが、創業当時と変わらず「銭湯」という形態を貫き、東京都の公衆浴場入浴料金で利用者を楽しませている。 ではなぜ、現在では本物の天然温泉を楽しめるかというと、高度成長期に銭湯文化が衰退したことで、客足が減り続けることを見かねた二代目がある時、温泉
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