企業が公開している財務諸表だけを精読し、問題企業を発見。その会社の株を“カラ売り”して巨額の富を稼ぎ出す究極の財務分析者「カラ売り屋」。その知られざる実像とは――。 ■「財務分析の鬼才」と呼ばれる男 米国には、財務諸表を徹底的に読み込んで、問題企業を探し出し、その会社の株を売って儲ける「究極の財務分析者」というべき人々がいる。「カラ売り屋」(ショート・セラー)と呼ばれる人々だ。 「カラ売り」とは、自分が保有していない株券をブローカー経由で借り、市場で売ることである。株の値段が下がったところで、市場から同じ銘柄を買い戻し、借りた株を返す。当初にカラ売りした値段より、後で買い戻した値段が低ければ、利益が出る。 米国では、1900年代初頭、伝説的投資家のジェシー・リバモアが、ユニオン・パシフィック鉄道をカラ売りしたり、1929年の世界恐慌の際にもカラ売りで、莫大な儲けを挙げた。 ウォール街に本格