ステーキはウェルダンで? 「ウェルダンで」 ウエイター、それに向かいに座る彼女の顔が同時に「えっ」という表情に変わる。「(この上質の肉をウェルダンで食べるのか~?)」という非難の顔。 学生時代、彼女にいいところを見せようと入った高級ステーキの店で、私は大変気まずい思いをしていた。単に血の味が嫌いでウェルダンでしか食べられないのであるが、何だか悪いことをしているみたいで思わす萎縮してしまった。今なら、「肉類は良く火を通さないとね、生死にかかわる中毒に・・・・」などと、ほとんどステーキと関係のない話を、さも関係ありげに自信満々とひけらかすのだが。 「良く火を通す」というのは、食中毒を防ぐ上で効果的な方法である。私の家では、開封して少し経ったハムやウィンナーなどは、「特に危ない」ので絶対生で食べてはいけないと母からよく言われていた。なぜハム類だけが特に危ないのか、小さい頃は不思議であったが、これ