1980年代。音楽誌が判を押したように不毛だったと決めつける、パンク後の焼け野原。でも、そんなメディアの煽り文句を鵜呑みにしないでほしい。80年代文化の裏側には、この時代だからこそ登場し得た貴重で刺激的な音楽がいくつもあった。 パンクがロックを解体した後、パンク的精神のもとにロックの欠片を集めて再構築した新感覚のサウンドが大英帝国のアンダーグラウンドで続出した。それらは「ニュー・ウェイヴ」と呼ばれ、一大勢力となってオーバーグラウンドを侵食していった。 1982年のある日、新進のニュー・ウェイヴ・バンドたちに、イギリスの音楽メディアはひとつの名前を与えた。ポジティヴ・パンク。日本では通称ポジパン。ポスト・パンクを感じさせる刺激的な音とビジュアルは、新たなムーブメントの到来を予感させた。が。 実際にはポジパンとは、音楽マスコミの場当たり的な商業主義の産物だった。新人タレントたちを無造作に束ねて