気づけば三十歳を過ぎている。同世代の男は少しずつ自分をおっさんと称しはじめた。しかし自分にはどうもおっさんとしての自覚が生まれない。ほとんど人に会わない生活をしていることも大きいんだろう。ひとりでいると年齢感覚がアップデートされないため、なんとなく自意識は二十代で止まったままだ。 ただ先日、ふらっと立ち寄った天下一品でラーメンとギョーザを食べながら店内に置かれていたプレイボーイの水着グラビアを眺めていたとき、「いや俺おっさんじゃん」と衝撃を受けた。自分の状況を俯瞰して、「こいつ完全におっさんみたいなことしてんな」と。何の言い訳もきかない姿だった。 その意味で、「おっさん」というのは非常に文化的な様式だと言える。いかにもおっさんめいた言動が人々のイメージとして共有されており、自覚的にせよ無自覚にせよ、そのイメージをなぞったときに人はおっさんとなるのである。そして、天下一品でラーメンとギョーザ