カメキチの目 「推理」 ーーーーーーーーーーーーーーーーーー 『相棒』という人気テレビ番組がある。 物語はたいてい、主人公の刑事(杉下右京)が事件現場で感じたちょっとした違和感、小さな事実(ほかの捜査員には気がつかないこと《気がついていてもどうでもいいと彼らは思っていること》)が発端となって解決する。 主人公は、その「違和感」にとことんこだわる。 事件現場にいあわせた人に、おだやかな口調で 「ボクは細かいことが気になるのでしてね」 と(おだやかながらも)ズケズケ訊く。 イヤになるくらい毎回そう。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーー 内田樹著『街場の読書論』より【引用】 あるものを見たときに、継時的にそれを配列して、次に何が起きるかを推理する力と、あるものを見たときに、そこに至るどのような「前段」がありえたのかを推理する力は、まったく異質のものである。前進的・統合的推理をする人間は、一連の