抒情性もしくは抒情精神。文芸の三大ジャンルとして抒情詩,叙事詩,劇詩が挙げられるが,この抒情詩を支える精神に着目して立てられる概念である。語源はギリシア語のリュラlyra(リラ)にあり,これと合奏する歌にただよう情調をさす。かかる情調は小説や戯曲あるいは映画などにも流れている場合が認められ,その普遍的意義が強調されるときにリリシズムが問題となる。形式的にみれば,芸術作品において,自然や生死もしくは愛憎などのすがたに,喜怒哀楽のごとき人生の内的感動が託されるとき,リリシズムは最高の発現をみる。しかもこのような感動の特質はロマン主義や象徴主義や印象主義の芸術作品にこそ顕著に認められるとされている。 執筆者:細井 雄介 抒情性,特に芸術的表現に伴う場合をいう。またこれを追求する抒情精神。抒情詩 lyric poetryから出た言葉。叙事詩や劇などが客観的事実をその対象性,時間性において表現するの