(第256号、通巻276号) オリンパスの損失隠し問題をめぐって第三者委員会が先週公表した報告書の中に、目を引く表現があった。問題の根源に「悪い意味でのサラリーマン根性の集大成とも言うべき状態」があったと断罪したのである。 前回のブログで『新明解国語辞典』第7版(以下、『新明解』と略)を取り上げたが、その新聞広告の中に実は「サラリーマン根性」という語の運用例も掲載されていた。「『サラリーマン根性』などの形で、定期的な収入を得て安定した生活をすることを第一として仕事に情熱や意欲を持とうとしない、サラリーマンの陥りがちな人生態度を、非難や皮肉の気持ちを込めて言うことがある」。 これは、語釈ではなく「運用」欄に書かれたものだが、個性的な解釈ではある。それは、『新明解』の編集主幹を務めた故山田忠雄氏の個性を反映したものにほかならない《注》。山田主幹は、好悪の情が激しかったかった方のようだ。たまたま
(第255号、通巻275号) 三省堂の『新明解国語辞典』は、辞書好きの間では「新解さん」(以下、「新明解」と略)の愛称で知られる《注1》。その第7版が「本日発売」と12月1日付けの朝日新聞朝刊に全面広告で掲載された。「日本で一番売れている国語辞典」のキャッチコピー付きだ。辞書マニアをもって任じる言語郎としては、是も非もない、すぐさま近所の書店にかけつけ買い求めた。 新しい種類の辞典が出版される時、あるいは第6版から第7版になった、今度の『新明解国語辞典』のように改訂版が出される時は、新しく収録された新語に注目が集まりがちだ。だから出版社側は、「新語をいくつ入れ、収録項目はいくつに増えた」などと新語収録をうたい文句にしがちなのだが、『新明解』第7版の場合は、いささか様相が違う。 「本日発売」の新聞広告には、20の単語の語釈(1語は運用説明のみ)を載せているが、どれも7版になって初めて収録した
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