どこかあるところで、終わりなきままに キリスト者になって9年目を迎え、病を抱えつつも、己にできることは何かを日々問うている者です。私が学んだり考えたりしたことを記しながら、多くの人に開かれた言葉遣いを探求しています。 若松英輔『内村鑑三をよむ』岩波書店、2012 6月30日の冨山房folioでの講演で、著者は本書に触れ、「自分はあまり本を読まなかった。読んできたのが岩波ブックレット。その一書を自分が書けるのは光栄」という意味のことを仰っていた。ブックレットというコンパクトな形態にまとまっているが、考えるに値する多くの指摘・論点がある。密度が濃い。 本書の鍵語は「内村鑑三」と「よむ」である。真実の意味で「読む」とは、それを書いた人間に出会うことだ、と著者は言う。「キリストありて聖書あるなり、聖書ありてキリストあるにあらず。キリストにして実在し給わざらんか、聖書の繙読百万回に達するも我らは