曾我蕭白と聞いて、いったいどれだけの人がその作品をイメージすることができるだろう? 日本美術をよく見る人なら、この画数の多い名前が「そが・しょうはく」と読むことを知っていて、江戸時代中期の画家で、いくつかの作品が、その奇人的なエピソードとセットで思い浮かぶかもしれない。現代美術も好むなら、アーティストの村上隆や横尾忠則に蕭白から着想を得た作品があることも知っているだろうか。パフォーマンス好きな人は、細江英公の写真集『胡蝶の夢 舞踏家・大野一雄』(青幻舎、2006年)に、スライドで身体に投影された蕭白作品と重なりあうように踊る、大野一雄の実に妖艶で美しい姿が収録されていることを知っているかもしれない。 曾我蕭白『竹林七賢図』(部分) 旧永島家障壁画 三重県立美術館蔵 重要文化財 このように現代の芸術家にもインスピレーションを与えている曾我蕭白。高度なテクニックと当時の絵画のコンテクストに裏づ