言葉で気持ちを伝えることが苦手だったり、介助が必要だったりする障害者が性のトラブルの当事者になるケースが後を絶たない。性に関する知識が乏しく、被害を受けた後に訴えられないこともある。日本の障害者への性教育を巡っては、国連から改善を求める勧告も出ている。識者は「障害者にも特性に応じた性教育をすべきなのに、障害者の恋愛や妊娠が想定されていない」と指摘している。 (鈴木みのり)
『いたいよー』 入院している母からのLINEだ。 早朝、朝、昼、晩、深夜。時報のように送られてくる。 『いたい、なんもできない、つらいー』 開腹手術を受けて、一週間。まだ傷がじくじく痛むという。 『わたしがいま一番やりたいこと、わかる?』 『わからん』 『寝返り』 ごろんごろんもできず、車いすにも乗れず、ひたすら腹の痛みを耐える母。 『起きるのもしんどい、ごはんも見たくない。ずっといたい。ちょっとでも気を抜いたら病む』 病んでるから入院しとるんやで。お見舞いも禁止されている今、わたしにできることは『そうかあ』『かわいそに』と、相槌を打つぐらいだ。 それぐらいしか。 相槌すらもバリエーションが枯渇しはじめた。励ますために新しいLINEスタンプを買ってみた。根気よく励ます方も、なかなかしんどい。 そんなある日。 入院先の病院の厨房に、緊急の修理が入った。 ただでさえ、そうそう美味しいとは言えな
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