「ほら、今日もガラガラでしょう。コロナのせいですよ」。誰もいない待合室を見やり、70代の男性医師がため息をついた。広島市中区の内科クリニック。診察室の裏に控えた看護師たちも所在なげだ。 【動画】立体マスクの作り方 いつもは高血圧や糖尿病などの高齢の患者が多い。定期的に受診し、薬を飲み続けてもらう必要がある。ところが新型コロナウイルスが広がり、受診を控える人が増えた。院内や行き帰りでの感染を恐れるのだろう。患者が通常の半数にとどまる日もある。男性医師は「感染が怖いのも分かるが放っておけば持病が悪化しかねない」と案じる。 ▽減収とコスト増 県西部の内科クリニックも患者が減った。「いつもの薬、3カ月分出しといてくださいや」。最近、そんな頼まれ事が増えた。院長の男性(43)は笑顔で応じつつも、不安が胸をよぎる。「また1人、定期受診の患者が減る。このままだと経営が成り立なくなる」 スタッフ7人を雇う