近未来ニッポン、この「少子化対策」はありえるか? 国に保護された「男女の恋愛」の行く末 作家・窪美澄さんにインタビュー 多様性が失われる危うさ ―新作『アカガミ』は2030年、若者の多くが恋愛も結婚もせず極端に少子化が進んだ世界が舞台です。窪さんが近未来を書いた、という驚きがありました。 文芸誌の『文藝』から短編の依頼をいただいたのですが、書いているうちに短編では収まらなくなってしまって(笑)。担当者の快諾を得て、長編になりました。今回は普段とは違うものを書きたくて、テーマについても相当考えました。 近未来を書くという気持ちは最初のうちからありました。というのも、私自身が今の社会に対して不穏さを感じていたんです。小説は自分の主義主張を書くものではありませんが、このままの状態でいくと未来はどうなるのか……それを考えたくて現在からそれほど遠くない2030年の東京が舞台になったんです。 ―不穏さ