なぜ日本人の賃金は上がらないのか。ジャーナリストの山田順さんは「正規雇用者の労働流動性を高め、年功序列、終身雇用システムを止めていれば、日本人の平均賃金はもっと上がっただろう。しかし、政府は非正規雇用を増やして、正規雇用の仕事をさせるという“逆行政策”を取ってしまった」という――。 ※本稿は、山田順『日本経済の壁』(MdN新書)の一部を再編集したものです。 平均賃金は韓国より下で、アメリカ人の半分 もうくどいほど言われているが、現在の日本人の平均賃金は、世界の主要国のなかでは低いほうに位置する。本稿執筆時点でのOECDの最新データ(2021年)では、加盟38カ国中24位である。 次の[図表1]にあるように、もっとも平均賃金が高いのはアメリカで、7万4738ドル。以下、ルクセンブルク、アイスランド、スイスと続く。日本はというと、ずっと下がって、韓国や中東欧のスロベニアやリトアニアより下で3万