はじめまして。笹谷遼平と申します。映画を作っています。2019年末、北日本における馬文化のドキュメンタリー映画「馬ありて」を公開しました(現在Amazon、アジアンドキュメンタリーズ、U-NEXTほか様々な媒体で有料配信中)。本作品では2013年から北海道帯広市のばんえい競馬、穂別町のポニーレース、岩手県遠野市の馬搬(伐採された木を馬で運ぶ仕事)などを取材しました。 今、ばんえい競馬の能力テストのレース中に、騎手が馬の顔を蹴ったことが虐待ではないかと、大きく話題になっています。その議論がいい方向に向かっていない気がしているので、ここに私見を記したいと思います。批判を恐れず申し上げると、ネットリンチの様相を呈しています。ただ、前提として、私は「蹴る」という行為を肯定しているわけではありません。しかし、「蹴る」行為の背景に、あらゆることが絡み合っていることを一人でも多くの人に知ってもらいたいと