今回はこの人のことを書かずにはいられない。偉大な記録を達成したレジェンド的場文男騎手である。 もう遠い昔の話になってしまったが、オーストラリアから帰国した21歳の夏からJRA競馬学校に入るまでのおよそ2年間を大井競馬場の父の厩舎で過ごした。その時、公私ともにお世話になったのが的場さんだった。騎乗技術や競馬について教えてもらうのはもちろん、「夜遊び」に関しても随分勉強させていただいた。私事で恐縮だが、妻と知り合ったのも的場さんの紹介がきっかけであった。 その頃の彼は大井のリーディングを取る直前で、仕事も遊びも全てが真剣勝負。一緒に夜遅くまで飲んでも、毎朝3時前から20頭以上の調教をこなしていた。その間「馬の背中を痛めるのが嫌だから」と常に腰を上げたまま速歩をしていたのは大井では有名な話だ。とにかく目の前の1つの勝利にこだわり、勝つためにどうすべきかを常に考えていた。 わが厩舎が勝利数に人並み