室町時代に刷られた経典「智感版(ちかんばん)・大般若経(だいはんにゃきょう)」の断片が、茨城県常陸太田市の寺「文殊院(もんじゅいん)」から見つかった。市が29日に発表した。県内で確認されたのは初めてで、この地を治めていた佐竹氏の有力家臣だった小野崎氏が寄進したものだという。 調査した茨城大人文社会科学部の高橋修教授(日本中世史)によると、智感版は室町幕府将軍家の足利氏が僧・智感に彫らせた木版から刷られた大般若経。今回見つかった断片には、小野崎氏の名が記されており、小野崎氏が佐竹氏を飛び越えて中央政権の足利氏と特別な関係を持っていたことがわかるという。 高橋教授は「室町時代の経典が見つかるのは珍しい。足利氏を中心に、関東での仏教文化の広がりをうかがわせる点でも興味深い」と話す。 市などによると、断片は1400年ごろに刷られたものだと考えられ、全600巻の経典群のうち第291巻の奥書部分。「応