「学力が低いうえに、社会的な訓練もできていない人材が増えるのではないか」と懸念されているわけである。 伊藤博之(ジャーナリスト)=文 宇佐見利明=撮影 そうした影響をマクロ経済の観点から憂慮しているのが第一生命経済研究所の永濱利廣主席エコノミストだ。ゆとり教育で成績が落ちたと指摘されるOECD(経済協力開発機構)の「生徒の学習到達度調査(PISA)」と一人当たりGDP(国内総生産)の関係を分析した結果、永濱氏は「両者の間には明らかに相関関係がある」と指摘する。 永濱氏が分析に用いた06年のPISAにおける日本の「科学的リテラシー」の得点は00年時点よりも19点ダウン。「読解力」では24点、また「数学的リテラシー」だと34点も下がっている。そうした学力の低下は、今後の日本の経済力の衰退を暗示する。 そして永濱氏は「日本経済の復活には、技術的なブレークスルーが求められている。それには国全体の