【古事記と言霊】P.7 成りませる神の名は、 何も起こっていなかった高天原という宇宙に、ある時、ある処で何か起ころうとする気配が始まります。心の中に一つの思いや考えが起ころうとして来ます。心の活動の始まりです。普通私達は何かを思い、感じた時、それが心の活動の始まりだと思っています。「喉が乾いたな」と思うのが始めで、次に「お茶が欲しい」と続く、と思っています。けれど自分の心の内をよくよく考えてみますと、「喉が・・・・」と頭で具体的な言葉として思う以前に、頭脳の中で複雑な経緯(いきさつ)があることが分かります。物事を(それがどんなに簡単な出来事であっても)それを思い、感じる以前に、頭の中では目まぐるしい動きがあって、その後に、「ああ、喉が乾いた」という具体的な感じが出て来るのです。 具体的に「喉が乾いたな」と感じた時は己に心の出来事です。その出来事が起こる以前の心の動き、まだ形として現われない