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ブックマーク / movieandtv.blog85.fc2.com (7)

  • スター・ウォーズに見る黒澤明1: 『スター・ウォーズ』とは何なのか

    映画・洋画を問わず、ネタバレ・あらすじを交えて感想(レビュー、 批評、 解説…?)を語りながら、映画の魅力を再発見していきましょう。ラストを明かすことも。 【ネタバレ注意】 スター・ウォーズ・シリーズほど人口に膾炙する作品はないだろう。世界中のファンが、スター・ウォーズ・シリーズのありとあらゆることを語り合い、語り尽しているはずだ。もう語る余地があるとは思えない。 それでも私がスター・ウォーズ・シリーズについて書きたいと思ったのは、エピソード7『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』を観たからだ。ジョージ・ルーカスが監督せず、脚を書かず、制作総指揮も務めない新作には、百人百様の受け止め方があるだろう。観客が抱く思いの違いは、先行する六作に対する思いの違いでもある。『フォースの覚醒』に喜ぶにせよガッカリするにせよ、それは六部作のどこが好きでスター・ウォーズ・シリーズに何を求めてきたかによる

    スター・ウォーズに見る黒澤明1: 『スター・ウォーズ』とは何なのか
  • 『WOOD JOB!~神去なあなあ日常~』 くじけない秘訣がある

    映画・洋画を問わず、ネタバレ・あらすじを交えて感想(レビュー、 批評、 解説…?)を語りながら、映画の魅力を再発見していきましょう。ラストを明かすことも。 「田舎を舐めるな。」 『おおかみこどもの雨と雪』を観た地方出身の友人は息巻いていた。 『おおかみこどもの雨と雪』は、都会に住む若い女性が幼い子供を連れて山奥に移り住む話だ。とても面白い映画だし、彼女には都会で暮らしにくい事情があるのだけれど、それでも友人は「よそ者が田舎に行って、あんなに簡単に溶け込んで暮らせるわけがない」と否定的な感想だった。 それは『WOOD JOB!(ウッジョブ)~神去(かむさり)なあなあ日常~』を撮るに当たって、矢口史靖(やぐち しのぶ)監督が気をつけたことでもある。作には、都会から神去村へ林業研修にやって来た平野勇気を温かく迎える住民が登場する一方で、あくまでよそ者扱いする住民もまた登場する。 パンフレッ

    『WOOD JOB!~神去なあなあ日常~』 くじけない秘訣がある
    toshi20
    toshi20 2014/05/17
    ネタバレ注意。
  • 『風立ちぬ』 宮崎駿と堀越二郎を繋ぐのは誰だ?

    映画・洋画を問わず、ネタバレ・あらすじを交えて感想(レビュー、 批評、 解説…?)を語りながら、映画の魅力を再発見していきましょう。ラストを明かすことも。 宮崎駿監督の育った家は、戦争中とても景気のいい家だった。 自動車の個人所有が一般的ではなく、しかも原油不足から民間では木炭自動車が使われていた当時にあって、彼の父はガソリンの自家用車に乗っていた。世間が糧難で、べる物が何もない中、宮崎家はおひつでご飯をべていた。 叔父が社長、父が工場長を務める宮崎航空興学は、軍需産業の一員として飛行機部品を組み立てていた。栃木県の工場には千数百人の工員がいたというから、ちっぽけな町工場ではない。なるほど、裕福な一族だったのだろう。 だが、未熟な女の子たちを臨時工として動員しても、できた翼は規格に合わない。規格に合わなくても、検査官の軍人にポケットマネーを渡せば通ってしまう。 それで特攻隊の青年

    『風立ちぬ』 宮崎駿と堀越二郎を繋ぐのは誰だ?
  • 『オブリビオン』 その意味するものは?

    映画・洋画を問わず、ネタバレ・あらすじを交えて感想(レビュー、 批評、 解説…?)を語りながら、映画の魅力を再発見していきましょう。ラストを明かすことも。 【ネタバレ注意】 TPP、すなわち環太平洋戦略的経済連携協定は2010年代に話題になった言葉だが、それより以前からビジネスパーソンにはTTPが大切だった。 トリンプ・インターナショナル・ジャパンの社長を務めた吉越浩一郎氏は、TTPする(徹底的にパクる)ことを従業員に推奨した。「これは!」と思うやり方を真似れば、仕事の成果が伸びるという。 そもそも「TTP」という言葉もイオンからパクったものである。 創作においてもこの精神は重要だ。 黒澤明監督は「創造というのは記憶ですね」と述べている。「自分の経験やいろんなものを読んで記憶に残っていたものが足がかりになって、何かが創れるんで、無から創造できるはずがない」。[*1] 黒澤監督は小説等の

    『オブリビオン』 その意味するものは?
  • 『遺体 明日への十日間』 哀悼の意を表して

    映画・洋画を問わず、ネタバレ・あらすじを交えて感想(レビュー、 批評、 解説…?)を語りながら、映画の魅力を再発見していきましょう。ラストを明かすことも。 葬儀――死者を弔うこの儀式は、私たちにとって極めて重要なものだ。 家族や友人、親しい者を亡くしたとき、人は深い悲しみに囚われ、茫然としてしまう。悲しみの淵に落ち込んで、何もできなくなってしまうこともあるだろう。 そんなとき、弔いのプロである葬儀社の人がこまごまと指図してくれることに、助けられる人もいよう。 死者の弔い方に慣れている人なんてあまりいないから、指図してもらわなければどうしたら良いか判らない。平常であれば自分で判断できることも、できなくなっているのが親しい者の死に直面したときである。 そして指図に従って行動しているうちに、徐々に体を動かす感覚が戻ってくる。型どおりのお悔やみの言葉と、型どおりの挨拶を交わすうちに、話すことも

    『遺体 明日への十日間』 哀悼の意を表して
  • 『かぞくのくに』 誰が歌に気づくのか?

    映画・洋画を問わず、ネタバレ・あらすじを交えて感想(レビュー、 批評、 解説…?)を語りながら、映画の魅力を再発見していきましょう。ラストを明かすことも。 若い人と話していたら、北朝鮮が「地上の楽園」と呼ばれていたことを知らないのに気づいた。 なるほど、そうかもしれない。多数の餓死者を出す国が、楽園のはずはないだろう。1990年代後半、飢餓による死者は22万人から350万人に及んだというから、総人口の約1~16%になる。近年、躍進著しい韓国に対して、かつて一つの国だったと思えないほどその落差は大きい。 けれど、1970年代まではそれほど大きな差は開いてなかった。韓国北朝鮮の1人当たりGDPを比べると、北朝鮮韓国を上回っていた時期すらある。 この頃の、軍事クーデターで権力を掌握した独裁者が君臨する韓国と、粛清により社会主義政党の一党独裁を強化していた北朝鮮のどちらが暮らしやすかったか

    『かぞくのくに』 誰が歌に気づくのか?
  • 『コクリコ坂から』 忘れ去られたモデルとなった事件

    映画・洋画を問わず、ネタバレ・あらすじを交えて感想(レビュー、 批評、 解説…?)を語りながら、映画の魅力を再発見していきましょう。ラストを明かすことも。 【ネタバレ注意】 なぜ1963年なのだろう? マンガ『コクリコ坂から』が少女マンガ誌『なかよし』に連載されたのは、1980年である。もちろん、その時代を背景に、その時代の少女たちを対象に描かれたマンガだから、映画のように高度経済成長期を舞台としたわけではない。 にもかかわらず、映画『コクリコ坂から』の時代は1963年と設定されている。 1963年――1941年1月生まれの宮崎駿氏は22歳、学習院大学を卒業し、アニメーターとして東映動画に入社した年である。すなわち、この映画は宮崎駿氏のアニメーター人生のはじまりとなった時代を描いているのだ。 また、主役二人の年齢から逆算すれば、その出生の秘密は18年前に遡る。1963年の18年前と云え

    『コクリコ坂から』 忘れ去られたモデルとなった事件
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