今後数カ月に市場に出回る見通しの米財務省短期証券(Tビル)の大量発行は、これから起こることの序章に過ぎない。中長期債発行の波が長期債利回りをさらに押し上げる見通しだ。 拡大する財政赤字の穴埋めのための中期と長期の国債発行は8月から増加し始め、新規発行額は2023年に1兆ドル(約143兆円)を超え、来年はほぼ倍増する見込み。財務省は連邦債務上限の適用停止を受けて資金補充を目指し既に推定1兆ドル規模のTビル発行を進めている最中だ。 国外の米国債の買い手が為替ヘッジコストで投資意欲をそがれる中、国債発行は増加し、米連邦準備制度理事会(FRB)がバランスシート縮小を続けている状況は、借り入れコストを急上昇させかねない。 バークレイズの米金利戦略担当責任者アンシュル・プラダン氏は、「歳出のかなり控えめな削減の中での財政状況の悪化は、今後の大量供給がTビルに限ったものでないこと示唆している」と指摘。「