戦後の荒廃の中で,民主的で文化的な国家を建設して,世界の平和と人類の福祉に貢献しようとする憲法の理想の実現を教育の力に託し,新しい日本の教育の基本を確立するため,昭和22年3月に教育基本法が制定された。教育基本法及び同法の精神に則って制定された学校教育法などの法体系の下での戦後教育改革により,各般の教育諸条件の整備が進み,教育を重視する国民性や所得水準の向上などともあいまって,教育は著しく普及した。こうして達成された教育の量的拡大と国民の教育水準の向上が,諸外国から奇跡とも呼ばれた我が国経済社会の発展の原動力となったことは疑いない。 しかしながら,昭和50年代中頃から,様々な教育問題が社会的に大きな関心を集めるようになり,政府の総力を挙げて教育改革に取り組むため,昭和59年9月に内閣総理大臣の下に臨時教育審議会(臨教審)が発足した。戦後の教育改革を総括した臨教審は,戦後の教育改革は大局的に