「水からの伝言」という物がある。それによると水の結晶の形によって言葉の善し悪しを判断できるのだそうだ。 いやはや、これはまったく大発見である。なにしろこれを応用すれば世の中の面倒臭い判断を全て水にまかせる事ができるではないか。 この手法を用いれば、もはや選挙に行く必要はない。候補者が具体的な政策を水に語りかけ、その結晶の形で判断すれば良いのだ。これでもう、やかましい選挙カーとも、いちいち投票に行く手間ともオサラバであるし、だれでも平等一律に国家元首となるチャンスができる。素晴らしいのである。 裁判もこの調子で量刑を決められる。裁判官と弁護士と検事が水に語りかけ、そいつを凍らせてみればよいのである。また、政策も同様に水にお伺いを立てればよいのは言うまでもない。 この場合、人間の常識では無理無体な結果が出る可能性は充分あり得るのだが、移ろいやすい個人の判断などよりも水の判断の方が普遍的で正しい